MSCEInf 〜インストールCABファイル・テーマファイルの詳細を閲覧&元ファイル名で解凍〜

1.概要

PocketPC・WindowsMobileでソフトウェアのインストール用に作られたCABファイルは、通常のCABファイルとは異なり、母艦PC(WindowsPC)で解凍ソフトを使って展開しても、オリジナルのファイル名では解凍されません。

更にインストールCABファイルには、どこに何のファイル/ショートカットをインストールするか、どんなレジストリ情報を登録するかの情報を持っていますが、その内容は通常はわかりません。

インストールに失敗した時、または動作がおかしくなってしまった時、アプリの調査を行いたい時など、CABインストールによって何が行われているのかがわかると、対処もぐっとしやすくなると思います。


MSCEInfは、WindowsPC上でインストールCABファイルの詳細な内容を表示し、またオリジナルのファイル名で解凍することもできる、便利なツールです。
CABインストールが嫌い&手動でインストールしたいという方にも役立つと思います。


CAB解凍しなくても中の1ファイルをエディタで開いて確認するといったこともできます。Readme.txtを手早く確認したい時に便利。
またCABファイルだけでなく、テーマファイルを開くことができ、中の画像ファイルを取り出すことも可能です。この画像欲しい!というような時にも活用できると思います。



とりあえずインストールしておくと、いざというときに役立つツールが、このMSCEInf。以下、簡単にご紹介します。



2.インストール

MSCEInfは、こちらのページで公開されています。

CodePPC - Programmez pour Windows Mobile

ページ左下にリンクの中にある「English version」をダウンロードして、任意の場所に解凍すればインストール完了です。
実行は、MSCEInf.exeを起動するだけです。
WindowsPC上で動作するツールですので、WindowsMobile上では動作しません。ご注意ください。


対応環境は、WindowsXP/Vistaとなっていますが、同梱されているWINCE CAB Files.rtfを読みますと、XPでデフォルトで入っているGdiplus.dllとCabinet.dllが必要のためのようです。ですのでこのDLLさえ入っていればWindows2000でも動作します。それ以前のWindowsでは・・動かない可能性が高いのではないかと思います。


また、Ver2.6.0.0用に日本語化パッチを作成してみました。こちらのエントリーを参照ください。

W-ZERO3 ツールMEMO - MSCEInf Ver2.6.0.0(English version)用 日本語化パッチ

このパッチは私soliptが何の断りもなく(遅ればせながら、作者さんには連絡しました)、勝手に独断で作ったものですので、自己責任でお使いください。ちょこちょこ意訳もしてますし(^-^A;
パッチ&パッチ適用したMSCEInf.exeについて、作者Benoit Thonnart氏に問い合わせ等は絶対にしないようお願いいたします。
パッチ適用後の動作確認は、WindowsXPで確認しています。Windows2000/Vistaでは確認していませんので、お使いの方は動作報告頂けると助かります。


以下、日本語化パッチを適用したMSCEInfの画面を元に、使い方をご紹介します。
(以下は、Ver1.5.0.0時点の内容なので、少し古いです(汗。すいません)
キャプチャ画像は、クリックすると大きな画像で表示することができます。



3.使い方

インストールCABファイル・テーマファイルを開く

日本語化したMSCEInf.exeを起動すると、こんな画面が表示されます。

まずはCABファイル等を読み込む必要がありますので、ツールバーの一番左にある「CAB」と書かれたボタンを押します。


すると、ファイルを開く専用ダイアログが表示されますので、インストールCABファイルを選択して開きます。


またこのダイアログでテーマファイルを選択した場合は、このように右側にテーマ画像のサムネイル画像が表示されます。どんなテーマなのかすぐにわかるのが非常に便利だと思います。テーマファイルを整理する際にも重宝しそうです。

さらに、この右側にあるサムネイル画像をクリックするか、ダイアログ一番右上にあるプレビュー表示ボタンを押すと、実際の大きさで画像をプレビュー表示できます。

ちなみにこのテーマファイルは、こちらで公開されているものです。


ファイルを開く際は、このようにダイアログを使用してもOKですが、「送る」などにMSCEInf.exeのショートカットを作って、開きたいCABファイルなどをMSCEInfに送れば、ファイルを開いた状態で起動するので、簡単です。もちろん、CABファイル・テーマファイルを、MSCEInfのウィンドウにD&DしてもOK。



ファイル読み込み後の画面表示

インストールCABファイルを開くと、このように、画面の各タブにファイルの詳細な情報が表示されます。
下は、OperaMobile Ver8.65βのインストールCABファイルを開いたところです。

このように、まず「一般」タブには、選択したファイルの情報や、インストール対象となるWindowsCEのバージョン、アプリケーション名やソフト提供者の名前等が表示されます。


他に、タブごとに色々な情報が表示されます。
まずストリングタブ、ディレクトリタブ、ハイブタブの内容ですが、インストール情報を持っているINFファイル内で管理しているIDと実際のパス等の関連付け情報が中心で、通常使う機会はほとんどないと思います。
また、一番右のRTFドキュメントタブは、セットアップ情報から再構築してINFファイル内容を記載したものが表示するタブで、こちらもほとんど使う機会はないと思います。
ということで、これらのタブに関する説明は割愛させていただきます。(^^;

よく使う&閲覧すると思われるのが、次に説明するファイルタブ、レジストリキータブ、ショートカットタブです。



ファイルタブ、レジストリキータブ、ショートカットタブの表示内容

MSCEInfで一番使う機会が多い&便利なのが、この「ファイル」タブです。

ここでは、CABファイルでインストールした際に、どんなファイルがどこにインストールされるのか、また、ファイルのサイズ・日付などが表示されます。「ファイル名」の列が、実際にインストールされるファイル名で、「ディレクトリID」の列が、そのインストール先のパスです。インストール先パスについては、OSの言語やストレージカードにインストールした場合などによって、実際のインストール時に読み替えられる所もあるといます。
CABでソフトをインストールすると、Program Filesフォルダ以外にも、Windowsフォルダに入ることがよくありますので、インストール先を簡単に確認できるのが有難いです。
ファイルタブでの操作については、また後述します。


次に、インストール時にレジストリに登録される内容が、レジストリキータブに表示されます。

「ハイブID」の列が、登録されるレジストリの場所。「種類」の列がキーの種類。そして「キー」の列と「値」の列の内容で、CABインストール実行時にレジストリ登録されることになります。
レジストリ情報はアンインストールしても残ることが結構あります。綺麗にしておきたい方には嬉しい所なのかも(^^;。ただ、TRE等のレジストリエディタでレジストリ編集することは、デバイスの動作に大きな影響を与え問題になる可能性が十分にあります。この辺りはご注意&自己責任で。


そして、ショートカットタブには、インストール時に作られるショートカットファイルの内容が表示されます。

「インストール先」の列にあるパスに、「ショートカット名」の列にある名前で、インストール実行時にショートカットが作成されます。
「ファイル名またはディレクトリ」列は、ショートカットのリンク先になります。




ファイルタブの操作方法

一番良く使うファイルタブの操作方法について。

まずファイルを選択して右クリックすると、メニューが表示されます。

「開く」で選択したファイルを関連付けで開きます。
「アプリケーションから開く」で、開くアプリケーションを選択した上で開くことができます。
「メモ帳で開く」は、選択したファイルをメモ帳で開きます。(まんまですけど(^^;)
CABファイル内のReadmeなどを、ちょっと確認したい時は結構あると思いますので、とても便利です。


また、ファイルタブ上でF11キーを押すと、このメニューの高さをトグルで変更することができます。
変更するとこんな感じでメニュー表示されます。


さらに、選択したファイルをエクスプローラ等にD&Dすることで部分解凍することもできます。これも嬉しい機能です。




一括解凍

ファイルタブからD&Dで解凍もできますが、実際のインストール時のフォルダ構成の再現も含めて一括解凍することもできます。


まず、ツールバーにあるこのボタン(ツールチップで「フォルダにオリジナルファイル名でCAB解凍」と出ます)をクリックします。

すると、解凍先を選択するダイアログが表示されますので選択すると、そこにCABファイルの内容がフォルダ構成も再現された上で一括して解凍されます。


解凍時にフォルダ構成を再現するかどうかは、ツールバーのこのボタンで指定します。

デフォルトではボタンが引っ込んでいない状態になっていると思いますので、フォルダ構成を再現した上で解凍します。
フォルダ構成を再現せずに1つのフォルダ直下にまとめて解凍する場合は、このボタンをクリックして引っ込んだ状態にします。




一括解凍(ファイル選択)

次に、解凍するファイルを選択した上で一括解凍することもできます。
ツールバーにあるこのボタンをクリックします。

すると、このようなダイアログが表示されます。

解凍したいファイルにチェックがついている状態にした上で、下にある解凍ボタンをクリックすると、解凍先を指定するダイアログが出て、そこに解凍されます。




セットアップがXMLファイルになっている新しいCABファイルの情報表示

多分WindowsMobile5以降だと思いますが、CABファイルに含まれるセットアップ情報が、INFではなくXMLベースのファイルになっているものがあります。
そういうXMLベースのセットアップファイルが含まれるCABをMSCEInfで開いた場合、このツールバーXMLボタンがクリックできる状態になっています。

このXMLボタンをクリックすると、XMLファイルをベースとしたセットアップ情報が表示されます。また、XMLのセットアップ情報しかないCABファイルを開いた場合は、このボタンをクリックしなくても初めからこの子画面が表示されます。

XMLツリーのタブで、XMLファイルの構成がツリー形式で確認できるようです。
その他のタブについては、ツールバーのボタン含め、画面とほとんど同じ感じですので、詳しい説明は割愛します。(^^;




4.最後に

WindowsMobile用のツールも沢山増えてきて、CABファイルでインストールする機会も増えてきています。そういったときに、インストールする前にちょっと中身を確認したい、といった場合には、MSCEInfが力を発揮するのではないでしょうか。


MSCEInfの使い方自体は難しくないですが、あまりNet上でMSCEInfのことを見かけることが無い&最近VerUpも落ち着いている&ふと日本語化パッチをまた作ってみようかと思ったので、再度布教?も兼ねて(^^;、簡単にまとめてみました。